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2016年1月21日 (木)

地球温暖化と海洋酸性化

産業革命以降、化石燃料を燃やすことによって発生する炭酸ガスによる地球温暖化がどんどん進んでいる。1992年に炭酸ガスの排出を抑えるための「気候変動枠組条約」ができ、「京都議定書」でを経て、21回目の会議で、ようやく、アメリカと中国が炭酸ガス排出削減に参加し、これで本格的に動き出すのだろうか?

人間活動による炭酸ガスの大量排出が、海を壊している。

人間活動以外でも、火山活動などによって、時より大量に発生する炭酸ガスは海が溶かし込むことによって調整してきた。その調整機能が限界にきているという。

産業革命以前はpH=8.17前後だったのが、現在はpH=8.06前後まで下がってしまっている。これは産業革命以降の化石燃料由来の炭酸ガスのほぼ半分が海に融け込んだため。

海の中では、炭酸水素イオン>炭酸イオン>炭酸ガスで、その割合は、100:10:1となっている。

貝の殻やサンゴの骨格は、個体の炭酸カルシウムでできており、これは海水中に融けている炭酸イオンと炭酸カルシウムイオンを原料にしている。

現在の海水中には、炭酸イオンと炭酸カルシウムイオンが実際に結晶ができる濃度の2~6倍も含まれていて、過剰飽和状態になっていて、これは何かきっかけがあれば、すぐに結晶を作りやすい状態といえる。

炭酸ガスが海洋に融けると炭酸ガス自身が出す水素イオンによって、炭酸イオンが中和されて濃度が下がり、過剰飽和状態が1以下になると、貝やサンゴは個体の炭酸カルシウムを生成することができなくなる。

炭酸カルシウムにはアラゴナイト(あられ石)とカルサイト(方解石)の2種類の結晶がある。

アラゴナイトはpHの低下で溶解しやすく、海水のpHがpH=7.84になれば、アラゴナイトの殻をもつ生物は生きていけなくなる。南極大陸の周囲の海=極海は海水温が低く、水温が低いため炭酸ガスを溶かす飽和度が低く、この極海においては炭酸ガスが融けやすい海の表層海水のpHをpH=7.84にする大気の炭酸ガス濃度は約640ppmで、現在のまま炭酸ガスが増え続ければ、21世紀の後半で、pH=7.84に達してしまします。

翼足類という軟体動物で、プランクトン生活をする巻貝は、アラゴナイトの殻をもつ冷たい海に住む生物なので、現在のままでは、21世紀の後半には絶滅してしまうことが予想されている。

アラゴナイトの骨格をもつ代表的な生きものはサンゴ。サンゴは温かい海に生息し、温かい海は、冷たい海よりもたくさんの炭酸ガスを溶かすことができるので、生物が炭酸カルシウムの結晶を作れなくなくなる飽和度1以下にはなかなかならないので、すぐに絶滅してしまうようなことはない。しかし、海洋が酸性化すると、生育が著しく低下することがわかっている。

円石藻は大西洋などで大増殖する植物プランクトンで、カルサイトの丸い板を重ね着したような形をしている。カルサイトはアラゴナイトより溶けにくい炭酸カルシウムの固体で、アラゴナイトが溶けるpH 7.7程度の海でも溶解には至りません。

しかし、円石藻の培養実験では、カルサイトの過飽和度が4から3に下がるだけでも急激な生育低下がおこることがわかり、海洋生物のエサとして、食物連鎖の底辺を支える植物プランクトンの激減は、地球の生態系を大きく壊してしまうかもしれない。そして、世界中の漁業に大きな打撃を耐えることになる。

ドイツの科学者評議会声明では、これまでの生物影響データを総合的に判断し、決定的影響が現れるのは産業革命以前からの変化として0.2のpHの低下であるとし、守るべき「ガードレール」は、平均的な海水pH変化が0.17で収まる大気の炭酸ガス濃度=450ppmであると発表している。

今、地球は、人類は炭酸ガスの排出を今すぐゼロにしないといけないほどの危機にある。

ところが、日本はなぜか、石炭時代に突入している。石炭を燃料にした火力発電所は、安い電力を供給できるらしい。電力が自由化になって、安い電力を供給できるところが強いということだろう。安いものがよい。安いものには気を付けないと大きな落とし穴に落ちることになるかもしれない。

2015年度の石炭火力発電所の新設は43基(2120万kw)、すべてが稼働すると約1億2700万tの炭酸ガスが排出される。東京都の排出量が6000万tなので、東京都が新たに2個できる量になる。日本は炭酸ガスの排出を少なくしようという国際的な約束に、明らかに反している。

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