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2016年1月 6日 (水)

とくしまをいただきます!豆腐とわかめのお味噌汁

徳島県の現在の大豆生産量は39tで、全国43位。
味噌の生産量は946tで全国9位。

徳島県民の豆腐の消費量は年間25.8丁で29位。
徳島県民の醤油の消費量は年間2.3ℓで29位。
徳島県民の味噌の消費量は年間6934gで25位。

アンケート調査によると、日本人の好きな味噌汁の具。1位豆腐(978票)、2位ワカメ(413票)、3位ネギ(211票)という。

お味噌汁というのは、その地域の個性がよく表れるものと思われる。

●御膳味噌

良質の大豆と良質の塩があるなら、それで味噌がつくられるのは自然な流れである。徳島における大豆栽培は古い。東大寺正倉院には「阿波国名方郡新島庄 絵図」および「同郡大豆処図」が所蔵されている。大豆自体は『古事記』にも登場し、弥生時代には中国から伝えられていたようだが、奈良時代にすでに、地名になるほど生産されていたところはめずらしい。この大豆処は第十堰のある「第十」という地名で現在に続いている。

味噌の一番古い記録は、やはり正倉院の古文書『東大寺封戸庄園並寺用雑物目録』の中に「天暦四年(950)十一月二十日。阿波国・百戸・祖大豆・六十二鱗四戸(五十一石三斗・板野郡。十一石一斗・那賀郡)味醤二合・大仏御料。二升三合四勺・仏聖・二十六柱御料。四合五勺・律師一員僧一口・沙弥二口。」とある。

また、室町時代、阿波国から天下を取りに海を渡った松永久秀は、大和の信貴城に初めて天守閣を建て、畿内諸士から贈られた豆腐で醤鼓(みそ)を造ったといわれている。

江戸時代、徳島の大豆は、藍作の後作でつくるため、藍の色を鮮やかにするために干鰯などが施肥された、とても肥えた畑で栽培されていたため、とても上質で、その質の良さは、「阿波の白目大豆」として京阪神に名が知られていた。

御膳味噌の名前の由来は、天正15年(1587)に阿波藩を蜂須賀家が統治することになり、その蜂須賀家に献上するための味噌で、ゆえに「御膳味噌」と呼ばれた。江戸時代から現代にいたるまで、徳島産の味噌は、京阪神に広く流通し、味噌汁用ではなく、甘めの御膳味噌を生味噌のまま、そのまま食べる「おかず味噌」の文化を育てた。戦後、「御膳味噌」を名乗る商品が増えたため、昭和41年12月6日に組合名で「御膳」の登録商標を収得し、組合として歴史と伝統に恥じないように、品質の向上を図っている。

御膳味噌は大豆と米麹から作られる甘口の米味噌に分類される。現代でも大豆に対する米麹の標準的な比率は10:14と麹が多く。塩分12%・全糖17%の多糖多塩型の味噌である。色も赤茶色と黄土色があり、二つを合わせ味噌にするとおいしい。

徳島県工業試験場の福永芳秋氏によると、戦前の御膳味噌の作り方は、冬の一番寒い時を選び、大豆1斗を水に一夜漬けてから蒸し、上の皮を去る。煮たのでは味が抜けるので蒸したものと考えられる。これに白米こうじ1斗3升・塩3升(ただし越年用には3升3合)を、さらに餅米1升半を強飯に炊いて冷まして加える。蒸しあがった大豆は揚き合わせて、一夜風にあててそのまま放置し、翌日一握りほどの玉に固めて、100日ほど風にあてておき、その後包丁で細かに切り、乾燥したら臼でよく搗いて、もし水気があれば影干してやや乾いたの時に桶に入れ、十分に突ぎ入れて仕込む。表面に紙をはって蓋をしておく。塩は撒いてはいけないとされていた。また、桶は小さな桶へいくつにも分けて入れる方がよいとした。300日程で熟成が完了する。しかし、古くは季節毎に少しずつ造ったり、また仕込んで翌年までおくものであったようである。
大豆:約18ℓ(1斗)
白米麹:約23.5ℓ(1斗3升)
塩:約5.4ℓ(3升)ただし越年用の場合は1.1倍に増量する
もち米:2.7ℓ(1升半)
2009年の総務省統計局の調査『平成21年米麦加工食品生産動態等統計調査年報』によると、徳島県の味噌生産量は8,737トンで、全国9位。

●鳴門わかめ

世界一の渦潮が発生する鳴門海峡。その大きさは最大で20mにもなる。渦が発生する理由は、瀬戸内海と紀伊水道の干潮と満潮の時間差によって生じる。月の引力によって干潮と満潮は通常6時間周期で繰り返しているが、満潮の太平洋の海水は淡路島で阻まれて、多くの海水は大阪湾を回って明石海峡から播磨灘へ入り、鳴門海峡に達するのに5時間もかかる。ゆえに播磨灘が満潮の時、紀伊水道はすでに干潮になってしまっている。瀬戸内海と紀伊水道の海面の高さは、最大で150㎝もの差になる。つまり渦は滝なのだ。そして鳴門海峡の幅は1.3㎞しかない。この狭い幅を一気に潮が流れようとするので、海流の早さは、一番早い海峡の中央部で時速20㎞にもなる。この日本一早い海流とその隣の流れの遅いところで回転力が生まれ渦を生じる。激流の速い潮にもまれた鯛は運動量が多く、身がしまっていておいしいというが、鳴門の鯛の骨をよく見ると、ときどき疲労骨折しているものも見つかる。それほどの激流なのである。ちなみに鳴門の渦潮は右回りが多く、まれに左回りが発生する。これは海底の地形により、流れの早い部分が淡路島よりに生じるためのもの。

鳴門ワカメは、この渦潮によってもたらさせる激しい激流によって、おおいに強くもまれて育っているため、なめらかな食感で、しっかりした歯ごたえがあり、シコシコ、味が濃いのが特徴。ちなみに三陸産は肉厚でシャキシャキ、韓国産はツルっとした歯ごたえ、中国産はやわらかい食感。また、鳴門の渦潮は、海水を海底へ引き込む力であるが、引き込まれた海水は、「渦の花」とよばれる海底から海面への上昇流もつくる。この上昇流「渦の花」によって、海底に溜まったミネラル分を上昇させる働きをしている。このことが鳴門のワカメのおいしさを作り出している。そしてプランクトンを増やし、魚の多い豊かな海をつくっている。

かつて、徳島港から和歌山や関西国際空港へ高速船が就航していたとき、高速船は、時間帯によっては、渦潮をつくる鳴門海峡からゼット噴流のように噴射される潮に乗り上げることになるので、かるく1回バウンドしていた。

鳴門ワカメの生産量は三陸についで日本で二番目。年間およそ7,700tにもなる。そして鳴門ワカメを養殖しているロープの総延長は1048㎞で、四国を一周してしまうほどの長さがある。

夏の間は陸上の水槽で育てらえたワカメの苗は、秋に海に設置され、冬に育ち、春先2月より収穫される。特に2月、3月に収穫されたワカメは「新ワカメ」とよばれ、一番おいしいといわれる。

一般的には、水揚げされたワカメは熱湯に通され、冷水で冷やし、塩蔵処理がされ脱水される。採れたてのワカメは褐色だが、熱湯に通すと鮮やかな緑色になる。

生ワカメは傷みやすいため、一般には流通しないが、産地である徳島では、春には生ワカメが食べられる。また、鳴門ワカメの食感を活かすには酢の物が良い。サラダにもよい。タケノコとの相性がよく、若竹煮には、鳴門ワカメでないとダメだという料理人の方は多い。

鳴門では灰干しワカメが有名。弘化2年(1845年)に前川文太郎氏が、生のわかめに灰をまぶして天日乾燥させる方法を発明。灰のアルカリ性分がワカメの体内の酵素が働くのを防ぐため、ワカメの葉が溶けてどろどろになることがなく、クロロフィルも分解されず、美しい緑色の干しわかめになる。塩蔵との違いは、海水で洗うだけで、湯通し処理をしていないという点。栄養価が高く、長期保存ができる。一時期、灰が気持ち悪いと敬遠されたこともあったが、純粋な植物灰を使用し、トレサビリティがしっかりしてきているので心配は少なくなった。

●渭東ねぎ

渭東とは徳島城のある城山をかつて「渭の山」と呼んでいたことに由来する。「渭の山」中国の都である西安の北を流れる黄河の支流の名前「渭水」からとられたという。「渭の山」の前は、「猪の山」と呼ばれていた。これは山の形がどことなくイノシシに似ているからだろう。お城の山の名前が猪では格好がつかないので、同じ音の渭で表したという。

岑参の詩に「渭水東流去・何時到雍州・憑添両行涙・寄向故園流」とうたわれている。「渭水は東に流れ去き・何時に雍州に到る・憑き添ひて両行しては涙し・向ひに寄りて故園を流る」

渭東ねぎは徳島市沖洲地区を中心に、サンドポンプで川砂をくみ上げて造成した砂地畑で栽培されている。渭東ねぎは九条ねぎ系のいわゆる万能ネギ、細ネギも白ネギも栽培されている。香りが良く、甘みがあるので人気がある。この香りと甘みは、砂地畑栽培だからこそ、生み出されたものなのではないかと思う。海から吹く風は生長によって生じる葉水を素早く乾かしてくれること、年間2,000時間を超える日照、月平均150時間と太陽のめぐみに恵まれている。また、砂浜のような土質は、適度な水分を保ちつつ、根が十分に呼吸でき、根の張りがよい。渭東地区の潜在的な自然環境はネギと相性がとてもよい。この風土がおいしいネギを育てている。

●太子屋の天然にがり豆腐

太子屋の大将大西さんは、京都で豆腐づくりの修業を積み、天然にがりの引き出す大豆の甘み、うまみを知り、このおいしさを多くの方に食べてもらいたいと、良質な天然りがりの得られる鳴門でお豆腐屋さんを始めた。手作り製法にこだわっているのは、気温や湿度によって微妙に変化する条件を、大豆の炊き方、混ぜ方などを合わせることで、常にベストな味をお届けることを目指しているため。大豆は厳選された九州の福岡産・熊本産のものを使用している。

かつては、かなりの生産量を誇っていた徳島の大豆であるが、現在は、野菜の生産にシフトしてしまっている。

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