« ストライプからドットへ・鷺さんの自然農法デザイン | トップページ | かもとくしま伝説と徳島の名前の由来 »

2015年12月25日 (金)

月と桂と勝占神社

■カツラは海洋民のご神木

勝占神社は927年に完成する『延喜式』の巻9・巻10神名帳に記載されている阿波50社のうちのひとつ。いわゆる式内社である。勝浦は昔より勝浦と書いて「カツラ」とよばれてきた。カツラは海洋民がご神木にした桂の木のカツラである。

水底の月の上より漕ぐ舟の 
棹にさはるは桂なるらし

という歌が紀貫之の『土佐日記』にある。 唐の詩人賈島の漢詩を思い出して「水底の月の上を漕ぎ渡るこの船の、棹に触るのは桂だろうよ」と歌っている。桂が月の色と同じように黄葉することから、月には桂が生えているという伝説が生まれた。おそらく棹の雫が月光で黄色く光るのを、桂の葉が散ると見立てたのではないだろうか?紀貫之には他にも月と桂を歌った歌がある。

春霞たなびきにけり 
久方の月の桂も花や咲くらむ

醍醐天皇のお召しで奉った歌で『後撰集18』に記載されている。桜を霞や雲に見間違えるという歌は何首もあるので、この歌では逆に、月にかかる霞を月の花=桂ではないかと大げさに疑って見せたのだろうか。

潮の満ち引きと月の満ち欠けは関係があり、海洋民は古来より月を信仰し、月の色と同じ色に黄葉する桂をご神木として祀ってきた。紀貫之は土佐に赴任し、その行き帰りで、この勝占その行き帰りで、この勝占神社の沖を通っている。

■長国の中心地かも

09katuura001katuura02katuura07katuura_206katuura08katuura

徳島には大化の改新以前には、眉山から南は阿波国ではなく長国という別の国であったといわれている。その国の中心だったのが、この勝占神社であった。北方(吉野川流域を北方という)の漁師は中津峰を長山(ながやま)とよんでいる。長国の国造家は平安時代の前半まで健在であったようである。

勝占神社は中山の中腹にある。祭神は大己貴命。そして事代主命、須勢理姫命、少名彦命、玉櫛姫命、大山祇命である。この神様のラインナップから、中央の神ではなく、地方色の濃い土着の神であることがわかる。そして大己貴は「おおむなち」とよむ。「おおむなち」はリーダーの意味である。

古墳時代の古墳に代わるものが神社だとすると、徳島最大級の古墳である渋野古墳は、この勝占神社のある山の北側の谷にあるので、この地が、長国の中心だったとしてもおかしくない。

屋島の背後を狙う源義経軍は、田口成良の伯父である桜間外記大夫良連の300余騎がいる熊山城をやぶり、良連を生け捕りする。義経は「勝を占う」という地名を聞き、弦を担ぎ愛刀一振りを奉納している。

富田氏の阿波志案文に「宮地免六反三畝 熊山城跡麓 たたら川筋に御座候 古への諺に御門下と申伝えに御座候 鳥居免壱町四反畝 熊山城の辰巳 本庄村之内に御座候 古の諺に大門之脇と申伝由御座候」とある。これによると熊山城のあった熊山に勝占神社はあったということだろうか?平家の重臣田口一族は勝占神社を尊信していた。勝占神社には田口成良の弟、田内左衛門尉成直が奉納した狛犬が伝わっている。もともとはこの神社に一緒にまつられていた金毘羅大権現に治めたものであったが、金毘羅大権現は蜂須賀家によって徳島城の南の守護として二軒屋町に移されたが、狛犬は勝占に残された。勝占神社は明治8年(1875年)まで杉尾神社(杉尾大明神)とよばれ、素盞嗚尊が祭神であったという説がある。

04katuura03katuura_2


■ふくろぶるいのみや

勝占神社へ登っていく参道の脇に「袋振宮」という名前の摂社がある。「ふくろぶるい」と読む。祭神は風の神、級長戸辺神(しなとべのかみ)と級長津彦神(しなつひこのかみ)。袋を背負った神様で、その袋から風を起こすのだという。いかにも、帆船を巧みに操った海洋民の信仰しそうな神である。

05katuura

■松熊大明神

境内にある松熊大明神。関係があるかどうかは不明だが、阿波国の式内社のひとつ麻能等比古神社と考えられている徳島市入田町の松熊神社の由緒書には「御祭神、手力男命、天宇受女命。両親とも天照大神に仕えたゆかりの深い神である。本宮に伝わる御本記によると当松熊神社は麓の箭執神社を矢の御倉とし、当社を弓の御倉と号して日霊大神が高天原より天降り座するまで御弓を守り奉ったと記されている。」

■金毘羅神社あと

二軒屋の勢見山の金毘羅神社は、もともとここにあったという。蜂須賀氏が入国し、徳島の城下町をつくるに際し、ここにあった金毘羅神社を移したという。

« ストライプからドットへ・鷺さんの自然農法デザイン | トップページ | かもとくしま伝説と徳島の名前の由来 »

伝説探検隊」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/137663/63240322

この記事へのトラックバック一覧です: 月と桂と勝占神社:

« ストライプからドットへ・鷺さんの自然農法デザイン | トップページ | かもとくしま伝説と徳島の名前の由来 »

2016年5月

1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31