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2015年12月 9日 (水)

バクダモンに会いに行く!

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バクダモンは60年の歴史をもつ農業用飼料用の微生物資材。「バクテリアのつくるホルモン」という意味で「バクダモン」という名前なのだという。

太平洋戦争中の中国で日本の海軍中将が、立派に育った作物をみて、土壌に何か秘密があると考え、その土を日本に持ち帰り、京都帝国大学の吉岡藤作工学博士に研究を依頼。

吉岡博士は、土壌中の微生物が作物を活性化するホルモンのような生理活性物質をつくっていることを発見し、その仕組みは農業に応用できると考え、糸状菌と酵母菌を米ぬかと馬鈴薯をつかって培養して増やして、その後休眠させて、珪藻土に吸着させて保存する方法を考案。バクダモンが生まれたそうです。

はじめは珪藻土だったようですが、微生物のことを考えたら赤土がよいとのことで、良質の赤土を求めて、現在の製造所のある兵庫県加東市に移ってきたそうです。初期に珪藻土が使われたのは、この珪藻土が戦艦大和の巨大なボイラーを支える耐火煉瓦の材料で、特許取得当時が戦時中ということもあり、あやかったのかもしれません。

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製造所の中を見学させていただきました。

まずは馬鈴薯を蒸す蒸し器。燃料は灯油を使っているとのことです。米ぬかは、入手が困難なため、現在は脱脂米ぬかを使用しているとのことです。発酵槽は酒や醤油をつくるときの麹むろのような状態で、床に菌のエサとなる米ぬかと馬鈴薯を引きつめて、それに菌をつける。切り替えしは角スコップで手作業で行ってるそうです。

温度を上げるために山にし、温度をさげるためにはひきならす。

製造所の2階が乾燥場になっていて、ここで2週間ほどかけて乾燥させて、菌を休眠させ完成。その後、菌を粉砕し、精製した赤土と混合し。室で発酵熟成させ、その後、乾燥させて製品となる。

単純なつくりなのですが、他では発酵がうまくいかない場合が多いとのこと、おそらく酒蔵や醤油蔵のように製造所に住み着いている菌も、なんらかの作用をしているのではないだろうか?

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バクダモンの主役の菌は糸状菌と酵母菌なので、生物分類学上はバクテリアではなく、植物や動物と同じ真核生物。遺伝子が核に守れていて、酸素を効率よく利用できる体をもっている。ミトコンドリアを体内に持っていて、酸素呼吸によって高エネルギーを利用できる。

糸状菌の仲間には、セルロースを分解できる酵素を持っていて、植物の外壁を溶かして内部に侵入し、植物をエサとして食べてしまうものもいるが、有機物を分解する力は、納豆菌、放線菌、乳酸菌よりも強い。そしてその体も大きいので、分泌する酵素も量が多い。

有機物を分解するさまざまな酵素を分泌し、体内に栄養素を取り込む。土壌中では、まるで栄養のはいった無数の袋のようであり、様々な栄養素を放出する生きた無数の肥料製造工場のようでもある。バクダモンは生態系を豊かにする、土壌を豊かにするための、最初のスターターとしての仕事をしている。

土壌に米ぬかや菜種油粕、魚カス、おからなどの有機物を、何も菌をつけずに、肥料としてすき込むと、土着の腐敗菌が、それをエサとして、競争しながら、取り合いながら、急速に分解するため、再利用できないない、でたらめな分解をしてしまい。時には毒素となるような物質ができることもある。その点、バクダモンの有機物の分解には、秩序があり、植物が再利用できるように、植物が吸収しやすいように、有機物を分解する。それはたとえれば、同じ音でも、騒音ではなく、音楽になっている。

有機物を分解するという生態系の中での役割(仕事)を終えると、自分が食べれるものも少なくなってしまうので、胞子をつくって休眠する。そして自分自身の体も分解し、土に還っていく。つまり納豆菌、放線菌、乳酸菌などの他の微生物(バクテリア)に役割を譲って、自らは、そのエサとなっていく。自然生態系の仕組みを理解し、それに逆らわない。自然のしくみを理解し、それに人間の知恵をたして、自然の恵みをより豊かになるように誘導する。農業の基本を見ることができた。

バクダモンを製造している岡部産業株式会社さんのHP

岡部様、大変お世話になりました。

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