« おにぎりイベント! | トップページ | 櫛渕ナマズ探検隊! »

2015年11月27日 (金)

埋め立てられたアオギスの海

0000002222100000999222220000011121

昭和57年(1982年)5月、吉野川の河口域はアオギスの生息産卵地として天然記念物に指定される、ほんとうに一歩手前までいった。内定を受けて、記者会見が開かれるところまでいったが、唐突に、集まったマスコミは会場から締め出された。そして内定取り消しの知らせがやってきた。文化庁の担当者は「天然記念物には学術上重要なものという原則があるが、アオギスには論文がないので指定できない」と理由を述べた。

アオギス釣りは、沖の浅瀬に台形の梯子を設置して、その上に登って、竿を掲げて、釣り糸を垂れる。その脚立釣りスタイルは、アオギスという魚がとても繊細で、船の影や、船がつくるわずかな波でも、逃げてしまうからだという。吉野川が四国山地を削って運んだ大量の砂が堆積した大きな大きな河口の浅瀬。そういう場所にアオギスは棲んでいた。徳島では30㎝級のものをボテと呼んだ。

アオギスの生息産卵域は、その後、埋め立てられて流通団地となった。

アオギスについては環境省は絶滅危惧種として指定していない。ところが1998年、水産庁が「日本の希少な野生水生生物に関するデータブック(水産庁編)」の中に記載している。東京湾、伊勢湾、紀伊水道で「近年捕獲記録がない」となっており、大分県の中津で生息が確認されている。魚の図鑑をみるとアオギスの生息地の欄に徳島県吉野川河口との文字が掲載されているものもある。東京湾のアオギスは昭和37年に捕獲されたのを最後に見つかっていない。吉野川河口でも絶滅したかもしれない。生きものが絶滅したことを証明するのは非常に難しい。見つからないのだから・・・

0000008888220000077772222流通団地には高速道路が接続されることになり、さらなる埋め立てが行わることになった。埋め立てることになった海岸には環境省が絶滅危惧種に指定しているルイスハンミョウがいることわかり、人口の浜辺を新たにつくり、そこに引っ越してもらうことになった。アオギスと違い、ルイスハンミョウには希少種を示す論文がある。引っ越し費用は1億円とか5億円とかいわれている。

新しくできた人口の砂浜は、希少種のサンクチュアリなので人間は立ち入り禁止である。そしてその浜辺を眺める位置にできた公園はなぜか健康がテーマになっている。公園づくりの流行りらしい。

000044442200000666622

アオギスの海を埋め立ててつくられた海に囲まれた人口の島は、海抜が4mもあるから、南海大地震の大津波でも被害がないといわれていた。しかし、東北大震災の大津波の経験を受けて、大きな津波の場合はやはり浸水することが明らかになった。島になっているので橋を渡らないと逃げられないのだけど、その橋が渋滞してしまい、島から出れないことがわかり、そして安普請の建物ばかりの流通団地には、津波から人を守れる建物があまりないこともわかった。

20世紀という時代を、後世の人類はどのように語るだろうか?
夕暮れ時、谷川俊太郎さんの「空に小鳥がいなくなった日」を思い浮かべる。

森にけものがいなくなった日
森はひっそり息をこらした
森にけものがいなくなった日
ヒトは道路をつくりつづけた

海に魚がいなくなった日
海はうつろにうねりうめいた
海に魚がいなくなった日
ヒトは港をつくりつづけた

街に子どもがいなくなった日
街はなおさらにぎやかだった
街に子どもがいなくなった日
ヒトは公園をつくりつづけた

ヒトに自分がいなくなった日
ヒトはたがいにとても似ていた
ヒトに自分がいなくなった日
ヒトは未来を信じつづけた

空に小鳥がいなくなった日
空は静かに涙ながした
空に小鳥がいなくなった日
ヒトは知らずに歌いつづけた

« おにぎりイベント! | トップページ | 櫛渕ナマズ探検隊! »

生きもの探検隊」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/137663/63240891

この記事へのトラックバック一覧です: 埋め立てられたアオギスの海:

« おにぎりイベント! | トップページ | 櫛渕ナマズ探検隊! »

2016年5月

1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31